会社を辞めて妻と過ごす時間を増やしてみた

30歳、純日本的な一部上場企業を退職。一度人生をゆっくり考え直すために妻との長い夏休みをとってこれからの生き方について考えてみる。夫婦で行く旅の記録や、二人で過ごす時間を作るための働き方について日々感じたことを綴る記録です。

私が会社を辞めるまで ①仕事辞めます、に対する世代間の反応について

退職のきっかけを人に聞かれると結構答えに詰まる。

 

どうしてかというと、会社を辞めるということは多くの人にとって(もちろん私にとってもそうだが)一大事であり、もっともらしい理由が必要とされるからです。

 

ブログの最初の記事でも書いてあるのがそのもっともらしい理由なのだけれど、これを何度も説明するのは骨が折れます。

 

上司、同僚、後輩、自分の家族に、妻の家族に、「どうして会社辞めるの?」と聞かれる度に詳しく説明するのはきつい。

結果、辞める理由を語るのも数をこなすとだんだんこなれてくるもので、「いやぁ、ちょっと疲れちゃったんで人生の夏休みです」などと落伍者感たっぷりの適当な返しで済ませることもあります。

案外、くだらないなと思う理由で辞めていった後輩なんかもこうだったのかもしれないなぁと今になって感じます。

結局、本気で自分の考えをわかってもらいたいと思わない相手には、適当にしかものを語らないのかもしれない。

 

適当に語っても食い下がる相手には、この上なくもっともらしいことを話して納得頂く場合もあります。

起業したい、キャリア積みたい系の返しがそう。

こういうと大抵のサラリーマンは納得してくれるので、あとあと話すときも何かと楽。聞いた方も、「そうか。じゃ頑張ってな!」と送り出せば良いので後腐れがない。

 

ほとんどの場合、退職するヤツのその後の人生にはそれほど興味を持たない人間が企業の中には多いので、ここで言ってることとやってることが違ってもそれほど困りません。信頼できる、これからも付き合いがありそうな人やこれからも付き合いたい人には本音を打ち明けるのだけれど、全部を語ろうとすると当ブログの最初のエントリーのように、壮大な人生計画の話になってしまうのでこれでは長すぎるので・・・。

 

いっそこのブログを退職前に立ち上げておいて、理由はここに書いといたから読んでね、くらいのことをすれば良かったかもしれないな。

 

しかし、退職を周囲に告げて思ったのは、世代によって転職すると告げた時の反応が180度違うこと。

 

20〜30代の方の反応は「いいなー」

 

40代以上の方の反応は「なんで!?嘘でしょ!?」

 

ここに、今の時代のそれぞれの世代の暮らしが反映されているな、と感じます。

 

当ブログ最初のエントリーでも書いたように、私が勤めていた会社はホワイト企業

20代〜30代であっても、世間一般の方から見たら高水準の待遇で働いているはずです。(働いている瞬間はあまり実感しないものですが・・・)

 

しかし、出てくる言葉は転職する人間を羨む言葉や、俺も早く転職してーよ、というネガティブワード。

 

対して40代以上の方に退職を告げると、だいたいの方が「正気か?」という反応です。

 

 

ここには多分、「企業で働くことによって受けられる恩恵と代償が世代によってアンバランスである」という日本の労働環境が反映されているように思えます。

 

たぶんだいたい40代くらいにならないと、恩恵と代償のバランスが安定しないんですね。

 

もちろん、20年会社に勤め上げているわけですから、会社の発展に長年尽くしてくれた人を優遇するのは当然の考え方であるかもしれません。

しかし、だからと言ってエネルギーを注いでバリバリ働いている20〜30代の若手に対する待遇を疎かにして良いかというとそれはまた別問題。

 

20〜30代の若手社員は、「恩恵<代償」であると感じているのだと思います。

(だから私も辞めたわけですが)

 

そして、こと日本的大企業においてその図式が逆転することはおそらく今後ありません。

 

しかし、ここには将来を不安に感じる大きな問題が潜んでいると思うわけです。

 

 

東証一部に上場しているような「大企業」は学生達に非常に人気があります。

慶應、早稲田、東大、京大。(学閥が多いのも傾向としてあると思います)

 

大企業は人気があるので、入社の時は優秀な人材が集まってきます。

 

しかし、せっかく優秀な人間が集まったのに、どうあがいても「勤続年数」を積まない限り、労働条件が上がっていかない。

 

優秀な人材が「転職」という市場に流出してしまうのはもはや必然と言えます。

 

過去のように、一度入社させてしまえばなかなか人が辞めない世の中であれば、最後まで優秀な人材が会社に多く残っているかもしれません。

 

しかし、転職が当たり前の世の中になった時、「勤続年数を積まない限り満足の行く待遇が与えられない会社」に優秀な人間が残るでしょうか?

 

また、ホワイト大企業の多くは成果の出せない人間でもクビにすることをしません。

 

結果残るのは、篩にかけられて「残らなかった」方の人材だけ・・・

 

こんな危機が迫っているかもしれません。

 

 

 

ただ、学生と会話する機会がつい最近あったのですが、まだまだ学生には「大企業」を信望する傾向が根強いです。

新卒で就職する学生達も、世の中の先を見据えて活動しなければならない厳しい世の中になっているなあと感じます。